たまたま課税売上割合が変動した場合

  1. HOME
  2. 所得税
  3. たまたま課税売上割合が変動した場合

法人が何らかの理由で、自己の持つ土地を売却する場合があります。土地の譲渡について消費税は非課税とされていますが、これにより課税売上割合が減少した場合、消費税の納税額にどのような影響を与えるのでしょうか。

消費税の計算は、「預かった消費税」から「支払った消費税」を差し引いて計算するのが原則ですが、その「支払った消費税」=仕入れに係る消費税額を課税売上割合を使って計算している場合、「①課税売上割合が減少する」→「②控除できる仕入れに係る消費税額が減少する」→「③消費税の納税額が増加する」ことになります。

このような、たまたま土地の譲渡があったことにより課税売上割合が減少する場合で、課税売上割合を適用して仕入れに係る消費税額を計算することが事業の実態を反映しないと認められるときの対応策として、課税売上割合に準ずる割合を用いて計算する方法があります。これは、土地の譲渡が単発のものであり、かつ、当該土地の譲渡がなかったとした場合には、事業の実態に変動がないと認められる場合に適用できる制度で、「土地を譲渡した課税期間前3年間に含まれる課税期間の通算課税売上割合」と「土地の譲渡があった課税期間の前課税期間の課税売上割合」のいずれか低い割合により計算する制度になります。

この課税売上割合に準ずる割合を利用するには、課税売上割合に準ずる割合を使用したい課税期間の末日までに税務署長の承認を受ける必要があります。決算日近くになってから承認申請を行うと、税務署側の手続きで間に合わない可能性がありますので注意が必要です。また、この課税売上割合に準ずる割合の承認は、たまたま土地の譲渡があった場合に行うものですから、翌期には課税売上割合に準ずる割合の不適用届出書を提出する必要があります。

税務署への届出関係で注意すべき点はありますが、土地の譲渡による課税売上割合の変動が大きく、なるべく消費税の納税額が増加しないように工夫する必要がある場合には、このような制度の活用も検討すべきでしょう。